迷い道の先に

日々思うことを徒然と綴ります。

謹賀新年 2017年!

新年明けましておめでとうございます🎍
昨年は何かのご縁でこのブログを読んでくださった方々、お世話になりました。
今年、目に止めてくださる方々、どうぞよろしくお願い申し上げます。



さて新年、深夜にテレビ放映されていました。
映画初鑑賞。

シカゴ

初めて見ました。
ミュージカル好きなので気になっていました。

✳✳✳ネタバレ注意です✳✳✳

明るいブロードウェイミュージカルかと思いきや、意外な展開。
とても共感できないようなキャラクターばかりの、人生というショーを軽快に、時に辛酸をなめながらも、強かに生きる映画でした。
キャストが有名どころでおぉっという驚き。

主演の方、ブリジット・ジョーンズの日記の女優さん!レネー・ゼルウィガー
別作品ではぽっちゃりになったり、今回は細くなったりダンスしたりですごい役者さんだなぁ。
ミス・ポターのときの雰囲気好き。だけど、シカゴではひたすら人間の自己顕示欲にしがみつく醜い主役をキュートに演じる!
そんな彼女の、憧れのクールなライバルを演じるのはキャサリン・ゼタ=ジョーンズ
個人的に時々映画で見かける女優さん。美人だわぁ。
この二人のキャラクターの対比がまたいいね。
元スターのクールビューティー、欲にまみれてはいるけど下品さはなくてどこか知的というか落ち着きがある。
それに対して、世間知らずで欲まみれな自分を隠すこともしない、夢を見続けて結果的にそれを実現させる、キュートで少女のような女性。

その二人を舞台で輝かせる立役者の弁護士はなんと、リチャード・ギア
出演してるの知らなかった上に、この人歌うんだ!と二重にびっくりしました。
タップダンス格好よかった。

あとは何気にRENTに出てた黒人男性(調べたらテイ・ディグスという方だった!イケメン)もピアノ伴奏者&司会で映画を要所要所盛り上げてくれましたね。

旦那さんもなぁ、どこまでも愚鈍で妻を愛する気持ちを消せない人だったなあ。
最後の最後にはその愛も断ち切ってしまうけれど。
道化のような格好で歌うソロパートとてもよかった。

女看守の方は主役の妄想のなかで歌っているときの艶やかさと、現実のすっぴん加減の差に驚いた。
途中で髪型流行りにしちゃう辺りおちゃめなママ。

総じてこのシカゴに出てくるキャラクターはすべて、強欲で自己愛だけの最低人間でした。
旦那さんはおそらく自己愛ではないし、唯一の良心な気もするけれど、愚かさでは他と変わりない。

この作品はまさに人生というショーを、欲にまみれた世の中を、軽快に面白おかしく、華やかに描いたんだろうな。

退屈な場面を歌と躍りでパロディするような演出は本当に素晴らしい。
舞台もまさにこんな感じなんだろうなー、むしろ舞台より自然なのかもしれないと思うくらい、現実の世界とキャバレーのような妄想世界との融合だった。

内容について。
ラストの判決、主役に嫌悪感がありすぎて有罪になれと思ったけど、無罪で少しほっとしてしまった。
最後まで残っていた旦那さんに、あぁどんな人にも帰るところはあるんだなーと視聴者が感激を受けたのもつかの間、自分しか見えない彼女は拒絶して、真実を知った彼は去っていく。
旦那さん悲しそうだったな。後ろ姿が切なかったけど、目が覚めてよかったねとも思った。

クールビューティーとキュートレディが手を組んでの新しい人生の始まりをつげる舞台。
何だそりゃ、ぬけぬけと生きていくのか!と心底嫌悪感を抱くも、この二人のダンスがね。これまた素晴らしい。
見ている途中から抱く感情が変わってきたもの。
息のあったダンスに女優さんの努力を感じたのもあり、そしてこのキャラクターたちも、ただひたすらに自分の夢を叶えるため、自分が一番に輝くため、愚かしいまでにその欲望に忠実に生きてきた姿がいっそ清々しく見えてきて、ダンスが終わったときは嫌悪感がうっすらと消えていた。

この作品に出てくるキャラクターたちに対する嫌悪感はあるんだけど、作品自体への嫌悪感にはならずにすんだのはこのラストダンスに尽きる。

ダンスを見ているうち、彼女らなりの苦労もあってこの場所に立っているのだと思えてきた。
そしてその上で華やかさを享受している。それも一瞬の儚いライトアップだと知っている。それでもその光を受けるために、この今のために、生きている。
彼女たちも甘い蜜ばかり吸ってきたわけではない。強かに、醜さも省みずに生き抜いたからこその舞台。愚かな罪を犯して、正当性を疑わず、欲に塗り固まれた自分を輝かすために。

歌詞にもあったように、
50年後はすべてが変わっている。
今を楽しめればいい。(うろ覚え)
それを体現している。

その痛快さがある。
最後はもやもやとした嫌悪感の上にすっと、痛快さという風が通るような感覚。

エンターテイメントとはこの事かしら。
まさにショーな映画。
この映画に「最低人間ばかりで面白くもなんともなかった」なんて感想はナンセンス。
この現実世界を、歌と踊りで華やかにパロディ化した作品を楽しめる余裕があってこそ、現実世界も楽しめる気がするね。
ミュージカルがぴったりな作品。

どなたかのレビューに「人の業」を描いたとあったけど、まさしくそう思う。
最高にナンセンスなミュージカル映画

しかし一度見れば十分かな。
個人的には感動する人間的良心を描いたナンセンスが好み。

新年初映画でした。
これを1月2日(日付変わって3日か)に放映するセンスもナンセンスだな。
正月早々、新年気持ちも新たにってところにこの映画を突きつけてくるとは。
感想書かなきゃ消化しきれませんわ。やはり人の業は深い。

ある意味フィクションで、ある意味真実か。
自分を強く持つことは大事だね。
大物になりたいもんだ。品のある、ね。
この作品を豪快に笑って受け止められる人物になりたいもんだ!

おしまい。